(その2からの続きです)
人生の暗転
仕事の全てが新鮮でやる気に満ち溢れ、若さを満喫しまくった20代。後半に差し掛かると仕事にも慣れ、余裕も出てきます。「夢って、叶っちゃうんだなー。。」そんな実感も空しく、何かがフッと消え去っていったかのような空洞が心の中に生まれました。
同業で独立していた今の夫と結婚、退職と一級建築士資格の取得という環境の変化で社会とのつながりが希薄になった時は、燃え尽き感と共に、ふと、うつになっていくのってこの延長線上なのかなという危うさも覚えました。ほどなくして夫の仕事を共にすることになり、忘れてしまっていた人との会話の仕方を取り戻すのにはちょっぴり苦労しました。
そして、ここからが更なる暗黒地帯への入口でした。
夫婦で仕事をする中で、私は「自営業の妻という立場」に縛られていくようになりました。夫とのパイプが仕事一色になるのに時間は要さず、これまで好きだった仕事はその色をじわじわと塗り替えていくこととなったのです。
大変ありがたいことに仕事は途切れることなくあり、お客様とお話ししている時間は充実していました。表向きはこれまでと変わらず、楽しく仕事をしているように見られていたことでしょう。しかし、どれだけ情熱をこめてやろうと思っても、空気の抜けるゴム風船のように、その情熱を膨らませることはできず、理由の分からない焦りばかりが募りました。
それに比例するように様々な出来事が重なり、夫婦関係は悪化の一途を辿ります。その中で感じていたことは、この上ない抑圧感。支配・管理・見張り…そのようなものの下に自分が置かれている感覚でした。「不機嫌という態度」でしか表現をしない夫に対し、何を感じているのか、何を考えているのかを一切読み取れないでいた私は、とにかく不機嫌にさせないことにしか自分の行動基準を持てないでいました。ここは恐怖政治だ…。本気でそう思っていました。
こうしてこの時、”得体の知れない違和感”に、今度は自分自身がどっぷりと浸かっていたのです。
どうにかしてこの状況を打破したい!
そう思っていたところ、一人の女性に出会いました。その出会いがその後の運命をこれほど大きく揺り動かすとは…。
その4につづく